雨に打たれて這いつくばれば

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 でも、誰にも言えなかったし、楽しいフリをしていたら、担任からは憎まれるようになったの。  『お前は大人を侮っている』  そう言われて、皆に背を向けて立たされ続けたわ。 クラスの生徒は全員、その空気に便乗したの。  三学期が終わる頃には、おかしくなっていたと思うわ。 黒板に向かって立っている時、窓から見下ろし続けた校庭の景色を、今でもぼんやり覚えているのよ。  後にそれらを忘れかけた頃、担任だった老人から葉書が届いてね。 流し読みをしたけれど、病気になったから世話しに来いだの、気になっているだの。  素直に謝れない惨めな男だと思って、葉書は直ぐに捨てたわ。  ランク付けで幼く騒ぎ、古い習慣で押さえ付け、意志が強いと煙たがる。 けれど、綺麗な女性は好き。  “それら”が。 九歳の私が男性に抱いた感想よ。
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