雨に打たれて這いつくばれば

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◇──── ◆── 《 肘かさ雨(ひじかさあめ)》  私は、私だけの神様の不在を受け容れられなくて、もがいていたの。  少しずつ、理解を示してくれる人間は現れたわ。その存在は確かに、私の心に風を入れた。  おままごとのようなお付き合いの相手は、何かに突出した人物など。 私は最早、何かに突き抜けた人しか相手に出来なくなっていたの。  十六歳の始め。 私は三十歳以上離れた男性と、親しくなり始めたわ。  年齢不詳の人物だった。 その男は、私と文通を重ねてゆき、私を支えてくれたの。  ある日、正面から私を見据えて、男はこう言ったわ。  『“十六歳の気配”じゃない』  私の心を掴むには、的確な言葉だった。  その男との文通は続いたの。 いつでも淡く薄い桜色の封書が、その男からの便り。  後年再会した時、男は言ったわ。 『俺を見付けた時にだけ、笑う君の顔が、いつも支えだったんだ』
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