第1章

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とりあえず今日もアタシは鏡の前よ。 女の朝は忙しいの。 素っぴんで外出なんて、恐ろしくて出来ないわよ、女の恥よ。 木の実を磨り潰して作った赤、露草の青、木の葉の緑、それから前の前のオトコから毟り取ってやった尾羽を駆使して、完璧な化粧を施すわけ。 平和ボケしてる白い鳩から貰った(毟った)羽根に緑の粉を乗せる。 こんなに綺麗にしてるのに、オトコが寄ってこないってどういうことかしら。 ちょっとイイカンジになった前のオトコは 『君といると周りから変な目で見られるんだ、僕は普通の女の子が好きなんだよ』 とか、いかにもアタシがおかしいみたいな言葉を残して、隣にいた茶づくめずんぐりむっくりと叢へ消えていったわ。 あの後バカみたいに、餡をけちったマダラおはぎみたいな女の上にのし掛かったんでしょうよ。 どうせ30秒も持たないくせに。 まあいいわ、あんな取るに足りない短小(尾羽)オトコのことを思い出してる場合じゃないのよ。 鏡の前の私は、どんどん変わっていくわ。 オトコよりも華麗に、カラフルに。 最後に青を振りかけて……と。 あら、もうそろそろ青が無くなりそうだわ。 露草を大量に取ってこなくちゃ。 全身を映し、色ムラはないかを確認して。 最後に尾羽で飾れば、今日も美しい私の出来上がり。 完っっっ璧!! ぷゎーふぇくつっっ!!! アタシ、まーべらすっっ!!!
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