第1章

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竹かごと瓶を持って外へ出る。 露草をありったけ刈っていく。 どうにか簡単に青を作れないものかしら。 こんなチマチマした花を集めるの、結構大変なんだけど。 花弁の大きなリンドウはなかなか見つからないのよね。 あら毛虫。 ひょいとくわえて瓶に入れる。 ったく、あんな少量の美白液の対価が瓶一杯の虫だなんて、割に合わないわよ。 まあ、雀が作る美白液はそんじょそこらのとは質が違うから仕方ないけど。 そういえば、雀も相当苦労してるって聞いたわ。 なんだか押し掛けてきた客がかなりの性悪で、手塩にかけて育てた虫や妖怪を全部強奪された上に、その人間に洗脳されちゃったらしく、いつまで経っても戻ってこないとか……。 だから言ったでしょ、不用意に人間なんか招いちゃダメだって。あんなの信用しちゃダメよ。 雀ってば本当にお鳥良しなんだから。 んでアタシが虫集めさせられてるなんて、ちょっと釈然としないけど。 ゴソゴソ地べたを這っていたムカデを見つけて、嘴にくわえた。 ふっと顔を上げたその時よ。 アタシ…… ついに出会ってしまったのよ、運命のオトコに!!!!
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