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その神々しいオトコは、何故だか神々しさとかけ離れた二匹の獣を連れていた。
一匹は牝犬。まさにビ○チ。
すごい感じ悪いの、人(鳥)を見下したような目付きがホントに嫌だわ。
もう一匹は雄猿。まさにエ○吉。
『万年発情期か?恥を知れ恥を!!』と小一時間説教したくなるような赤いお尻。
なぜっ?
なぜなの?!
なぜこんな素敵なオトコが、本気の獣を連れているの?
こんなの連れてたら、貞操の危機よ?
ダメよ、危ないわっ!!
アタシの心配をよそに、彼はアタシをうっとり眺めてこう言ったの。
「君は……綺麗な雉だね」
アタシの(少ない)脳を包み込むような優しく妖しい声。
それはもう、アタシを捉えて離さない呪文のように響いた。
やっぱり出来るオトコは違うっ!!
アタシの真価を解ってる!!
ぼとりと瓶が落ち、蓋が開いて、捕らわれていた虫たちが命拾いをしたと一目散に駆け出す。
それを目に写すこともなく、アタシは距離の空いた位置に立つオトコを見つめ続けた。
簡単に人間なんか信じちゃダメ……なんのこと?
そんなの言った覚えはないわ。
アタシを見つめ返すオトコの瞳がやけに熱っぽい。
目が、そらせない。
このオトコは、今確実にアタシを求めてる!!
ううん。解ってた、これは運命。
種族の違いなどものともしない深き愛と絆が、アタシとあなたにはあるんだって。
アタシの全身全霊をかけて、あなたをお守り致します!!
(あの二匹の獣から)
あなたのお側にいつまでもいさせてほしい、
そして出来るなら……
抱 い て っ !!!
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