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神々しいオトコは小脇にぶら下げた巾着から、丸っこい何かを取り出すと、手のひらに乗せてアタシに差し出した。
「怖くないよ、こっちにおいで」
『怖くないよ、僕の隣においで』(脳内変換中)
「そんな虫よりこの団子は美味しいよ」
『そんな虫より僕の○○は美味しいよ』(激しく変換中)
「僕の仲間になって」
『僕の番(つがい)になって』(都合よく変換中)
い た だ き ま す
アタシはととととっと彼に近付いた。
差し出されたそれは、なんだか虫にも劣らない禍々しい色をしていたけれど。
薬膳のような香りもするけれど。
アタシには光輝く宝石のようにも見えたわけ。
嘴にくわえた。
ピリリと刺激的な何かを感じる。
○ッチと○テ吉がじっと見ている。
そんな見られたら食べづらいじゃない。
それに……アタシが食べるにはちょっと大きすぎる。
アタシはそれを汚さないように空いた瓶に入れ、嘴の先で半分に割って、何度か食んだ。
ゴクリ。
飲み込もうとしてるのはアタシなのに、アタシをガン見している犬と猿が音を立てて唾を飲み込む。
なんなのかしら、変なやつら。
ああ、羨ましいのね、きっと。
アタシは噛んでも噛んでも小さくならないそれを、コクリと飲み下した。
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