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戸惑う私の頭を越して、ソリが止まる。ソリに乗った女が手招くとカイは吸い寄せられるように年増の女に抱き着いた。
「あれは、雪の女王。……どうして? カイを返して!」
私はカイを呼んだ。喉がはち切れそうになるまで叫んだわ。
カイも雪の女王も雪が舞い散る寒空に消えてしまったの。
涙がはらはら落ちてくる。拭っても拭っても流れてくる。
それから私は部屋で泣いて過ごした。
私もカイも孤児だから親は居ない。育ての親のお婆ちゃんも死んじゃった。
次の日も明くる日もカイとの思い出が部屋に溢れるの。
食器も二人分用意してる。
夜は眠れない日が続いて苦しいの。
雪の季節が終わらない。
私の心も真冬になっちゃった。
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