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苛立つ圭一の隣に、
助手席に若い女を乗せたセルシオが並んだ。
ハンドルを握っている
のは五十後半から六十半ばと思しき痩身の男だった。
胸元を大きく開けたシャツにいかに
も着心地の良さそうなジャケットを合わせており、
豊かな頭髪を軽く後ろに流し、
いかに
も涼しげな笑顔を女に向けていた。
カットソーの似合う首の長い女は、
服装やメイクは一
見地味だが、
胸元は運転席の男に贈られたに違いない、
派手なダイヤのネックレスで飾ら
れていた。
ふたりは親子ほど年が離れているものの、
親子にはとても見えなかった。
とき
にはゴルフの誘いを断わってまでサーフィンに出かけていた桐谷常務の面影が男の横顔に
あった。
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