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「2次会行くヤツはこっち集まって~」
あれからスキを見てまた手を離し、何とか空腹を感じなくなるくらいには食べられた。
「里奈、500円玉ある? 小銭足りないんだ」 弥生が聞いてきた。
「うん」
そろそろ1次会はお開きということで、お会計のため、テーブルの上ではお札やら小銭やらが飛び交っている。
財布を取り出そうとして右手を掴まれた。
また! 何なの。
手の指をひとつひとつ拡げられると、つーっという感触を感じた。
祥の指が私の手のひらをなぞってる。
なによ、またいたずら?
いや、違う。
何これ、、、文字?
指で文字を書いてるの?
待って待って!
今のじゃわかんないよ。
困惑して祥のほうを見ると、私の表情に気がついたのか、こちらをまっすぐには見ないまま、もう一度、今度はゆっくりめに書いてきた。
その横顔がカッコよくてどきんとする。
いかんいかん、手のひらのことがお留守だ。
ひゃっ、
く、くすぐったい。
手のひらに神経を集中して、、、
エ キ タ グ チ
は? 駅、田口? そんな名前の駅名、このあたりにあったっけ。
聞いたことないや。
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