テーブルの下

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「わー、なに、これ掘りごたつみたいになってるのね」 弥生が感心してテーブルの下に入れた足をぷらぷらさせている。 彼女とは研修先が一緒だったこともあり、同期で一番仲がよくなった。 「ちょっと弥生、今、私の足蹴った」 「あ、ごめーん」 祥はどこにいるんだろ。オーダーを伝えにいったのかな。 普段でも同じフロアにいるのに、彼の机は私の方からはキャビネットの陰になってて、よく見えない。 今だって表向きは知らんぷりしてるけど、どうしても目や耳や鼻、全身の感覚を総動員して、彼の気配を探してしまってるんだ。 はああ。 だってもう3週間近く、まともにしゃべってないんだよ。 年末調整で忙しい上に、祥が上司のお供で1週間関西に行ってたから、、、。 「飲み物回ったー?」 その時、私の右隣のわずかな隙間に、どさっと誰かが割り込んで座った。 もう、こんな狭い空間に無理やり入らないでよー! 、、、あれ、この香りは。 D&Gのthe oneだ。 えっ。 これは、、、
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