テーブルの下

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目の隅に映った姿は、3週間ほとんど姿も見かけなかった彼。 なのにいきなりこんな至近距離。 全身の神経が右端に集結したような気分になる。 それなのに、というか、当然、というか。 祥ったら私に背を向けたまま。 「きゃあ、そうなんだー」 祥の声は聞こえないのに、彼の反対側にいる岬さんの声がキンキン降ってくる。 この人、以前から祥にあれやこれやでアプローチしてるんだよね。 「里奈の考えすぎだよ」 って祥は言うけどさ。 こっそり右を盗み見ると、祥の肘に触ったりして、なにやら嬉しそうに話してるし。 思わずおなかの中が熱くなる気がした。うう、我慢、我慢。 「里奈、里奈ってば!」 「あ、は、はいぃ?」 反対側からつつかれた。 「乾杯だって。グラス手に持って」 弥生に言われて、初めて手がお留守なのは自分だけだと気がつく。 あちゃー。
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