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乾杯と同時に鍋のセットが運ばれてきた。
おいしそうな海鮮の具の匂い。
お昼は忙しくておにぎり一個だったので、ぐぅとおなかがなる。
わっ、恥ずかし! でもこの賑やかさなら、聞こえないだろう。
「やだぁ、葛城君ってば!」
また甘えたような岬さんの声が右耳に届いてきた。
なによぉ。
祥の顔は見えないけど、きっとにやけているに違いない。
岬さん、美人とは言いがたいけど、やせている割に胸が大きいという、ウラヤマな体型なんだよね。
「もぅ」
誰にも聞こえない小さな声でつぶやいたとき、体の脇に置いてた右手に温かみを感じた。
誰かが、私の右手に上から触れている。
ぎゃ、だ、誰?
思わず手元を見ると、、、えっ。
祥の左手が私の右手をすっぽりと包んでいる。
体は反対側をむいたままで、何事もないかのように、岬さんと話しているのに。
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