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ニッコリと笑って手を振る彼と呆然とする私を、動き出した電車が引き裂いた。
車窓の景色が飛ぶように私の視界を流れていくと、まるでさっきあったことが夢みたいに思えた。
でも、私の手には彼が貸してくれた単行本が存在して。
私の記憶にはチョコレート色の彼の瞳と、甘い香りがインプットされていた。
『また明日』
彼の言葉が頭の中でリフレインされて。
明日また彼に会えるという事実が、私の頬を自然と緩ませた。
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