Christmas White

「起きろ。こんなところで寝てたら凍えてしまうぞ」

　俺はゆっくりと手を伸ばし、項垂れたままの顔を持ち上げた。長い睫毛に、真っ直ぐな鼻梁。優しくカーブを描く眉。そして、薄い唇。

　街灯が淡く照らすその面差しに、心臓が音を立てる。

　俺はコートの上から自分の胸に手を当て、深く息を吸い込んだ。目蓋を閉じ、ゆっくりと息を吐いて心を落ち着け、再び視線を下に降ろす。

　細身だが、その体つきは明らかに女性のものではない。ソラではないとわかり、緊張が解けため息が零れる。

　唇から零れ出たのは安堵か、それとも落胆か。……自分でもわからない。

「う……」

　呻き声と同時に、男がきつく眉を顰めた。

　前髪を持ち上げ、男の額に手のひらで触れてみる。かなり熱い。具合が悪くて、動けなくなったのだろうか。