第1章

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「なあアキ、今日は帰りどうするんだ?」 今日はテスト前だから、部活はないはずだ。 オレは帰宅部だから関係ないけど。 文学大好き少年の太宰は、部活には入らず図書委員をやっている。 放課後は大概図書室に生息しているんじゃないだろうか。 対して芥川はと言うと、その高身長を活かし……活かし…ているのかは分からないけれど、剣道部で汗を流している。 色白美人な太宰に浅黒く男らしい芥川の二人は、入学式の時から目立っていた。 周りがみんなソワソワしてるの分かったし。 でも、誰も声をかける奴はいなくて、すっげぇ気になってたオレから声をかけたんだよな。 誰とでもすぐに仲良くなれるのが、オレの特技だ。 話してみたら強くて怖そうな外見とは違い穏やかな芥川と、初対面でいきなり毒を吐いた太宰に驚いたんだっけ。 それから、三人同じクラスだって分かって、つるむようになった。 太宰の毒舌も、慣れたら可愛いもんだしな。 ああ言うの、何て言うんだっけ。 ええと。 前に兄ちゃんに聞いたんだけど。 そうそう、つんでれ!ってヤツだな。
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