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「佐野ちゃーん!おっはよ~」
学校の敷地に入った途端、中庭の花壇にしゃがみこんでいた仲良しの用務員のおっちゃんに声をかける。
今日は何を植えているんだろう。
放課後時間あるし、あいつら誘って冷やかしに行こうかな。
「お前…。少しは急ぐ振りくらいしろよ」
佐野ちゃんはスコップを持ち代えながら、残念なものを見る目でこちらを見た。
「だいじょぶー!佐野ちゃんも、無理したら腰やっちゃうよー?」
オレの軽口に後手で答えて、作業を再開する。
佐野ちゃんが来て花壇の手入れをするようになってから、学校の花が絶やされたことは無い。
いつも季節ごとに植え変えられる花達で、花壇が彩られるようになった。
たまに手伝いをさせられるから、佐野ちゃんの花への愛情だとか、植物の世話の大変さとかを身をもって感じられるようになったと思う。
今までは、まああんまり気にも留めていなかったんだけど。
オレらが二年になった辺りから、毎朝花壇の側で佐野ちゃんを見かけるようになった。
朝だけじゃなくて、暇を見つけては何かしら作業をしているらしいのは、本人から聞いた話。
佐野ちゃん、本当に花が好きなんだな。
うん。オレはメロンパンが大好きだけどね!
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