第1章

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チラリと太宰を横目で見る。 やっぱりな。 太宰は手元にある本から顔をあげずに毒を吐いたようだ。 つか、何で見てないのにわかるかな。 太宰よ、お前は一体何者だ。 くだらないことを考えていたら、今度は右側からぬっと長い腕が伸びてきた。 「おわっ!いたた、痛いよ、芥川~。何すんだよ~」 ゴシゴシと口元を擦られる。 「夏目、口元にクリームついてたぞ」 クリーム? クリームって!! 「うえぇぇ~マジかよ~。マツキヨずりーよ。何でみんな黙ってるんだよ~」 不貞腐れてブーブー言っていたら、太宰がやっとこちらを向いてニヤニヤしてきた。 おい、お前その顔はダメだろ。 せっかくの綺麗な顔が台無しになってますよー? 本人に言うとキレるから、言わないけど。 「おおかた、マツキヨすげー!!とか思っていたんだろうが、お前が教室に入って来た時から全員気が付いていたぞ」 な、なんだと!? 太宰のくせにいつまでもニヤニヤしやがって! こっちだって、綺麗なお顔が台無しですよーって言ってやるんだからな!
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