第1章

9/18
前へ
/262ページ
次へ
オレが口を開こうとした瞬間、芥川が右腕をポンポンと軽く叩く。 それから、じっと視線を合わせてきた。 ちっ。察知されたか。 流石だな、芥川。 太宰は機嫌を損ねると物凄く面倒くさい。 幼馴染みで、ルームメイトのお前からしたら、後のフォローが大変だよな。 どうせオレ、やりっ放しだし。 分かってる。 分かってるけど、オレだってたまには太宰にぎゃふんと言わせたいんだよ。 あのお綺麗な顔が、悔しさに歪むところが見たいんだよおお!! 芥川が静かに首を振っている。 ちぇ。分かったよ。 太宰からかうのは、ヤメだヤメ! オレの考えている事が分かったのか、芥川はもう一度ポンと右腕を叩いた。 そして、太宰にやんわりと声をかけている。 この二人、本当仲良いよな。 まっ、オレもだけどさ。
/262ページ

最初のコメントを投稿しよう!

927人が本棚に入れています
本棚に追加