最後の恋番外編:はじめてのクリスマス周防目線

3/5
前へ
/120ページ
次へ
 目の前で喜んでジャケットを着込む姿に、嬉しくなって笑みを浮かべた。俯いてそれを隠すと膝に置いてある、太郎からのプレゼントが目に入る。  俺も開けてやり、有り難うを言わなければな――  リボンがお洒落に巻いてある箱に手をかけて、紐解いてからゆっくりと蓋を開けてみた。  その中にはハガキの大きさの紙の中に、俺と患者さんの笑顔が水彩タッチで、ほのぼのと描かれているイラスト。  胸の中が、きゅっと鳴った。太郎の……いや、歩の目に映る俺って、こんな顔してるんだ。  どんな顔していいか分からず、上目遣いで目の前の恋人を見たら、  "p(-x-〃) イジイジ  なぁんて、ちょっといじけたサル顔を見せた。  きっと俺が何も言わないものだから、気に入らないとでも思ったのだろう。相変わらず、面倒くさいヤツ―― 「よく描けてるじゃないか。嬉しいよ歩」  俺にしたら褒めてやった言葉だというのに、まだ物足りなそうな表情を浮かべる。  ワケが分からず眉根を寄せたら、視線を逸らしながら、 「プレゼント、その絵だけじゃないから。箱の中にある厚紙をどけると、もうひとつのプレゼント出てくる……」  歯切れの悪そうな感じで教えてくれたことに、イヤな予感がしまくった。隠し事をした時に限って、こういう態度をとっるからな。  とりあえず呼吸を整えてから厚紙を横にどけて、白い洋服みたいなものを、目の前に広げてみた。  パッと見、ただの白衣だと思ったのに―― 「何だ、コリャ(・ ̄□||||!!」  驚くのも無理はない。だって背中にキュートな羽のついた、超ミニ丈のナース服だったのだから!
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

120人が本棚に入れています
本棚に追加