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いつものように学校帰りに、病院に顔を出した太郎。
犬の着ぐるみを着て、待合室にいる子どもの患者と戯れつつ、絵を描いたり相手をしてくれていた。
楽しそうな子どもたちの笑い声が、診察室まで聞こえてくる。
最近それが当たり前の日常になっていて、俺も一緒に働いている看護師たちも、笑顔で仕事をすることが出来ていた。
病院を閉める10分前の午後4時50分頃、今日は患者さんが少なかったので延長することもなく、終えることが出来そうだ。
診察室の椅子の上で、うーんと伸びをしていると――
「太郎ちゃん、危ないから脱いでから上ってくれない?」
「大丈夫ですって。中身脱脂綿でしょ? 大きくても軽いから、バランスを崩すこともないだろうし。ほらね」
ベテラン看護師の村上さんと、太郎のやり取りが耳に入ってきた。何やら太郎が、危なげなことをしているみたいだな。
「年長者の言うことを、どうして素直に聞かないのかね、あのバカ犬は……」
若者特有の無鉄砲ぶりというべきか、怖いもの知らずというか。俺が心配するキモチも、少しは考えてほしいよ。
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