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よいしょっと掛け声をかけて椅子から立ち上がり、声のする物置へと歩いていくと、気ぐるみを着たままの太郎が脚立の上で、大きな箱を元に戻そうとしているところだった。
中身が脱脂綿だからって、バランスがとり難いような大きな箱を持ってるのにも関わらず、足元がぶかぶかの着ぐるみ状態じゃ、どう見たって危ないじゃないのさ!
内心憤慨しながら声をかけずに、じいっと行方を見守ってみる。
降りてきたら注意をしてやるぞと思っていたら、箱を定位置にしっかりと置いて、勢いよくこっちへと振り向いた太郎。
「は……?」
口をぽかんと開けたまま、何故か体勢を崩して倒れてきた。
「バッ!?」
(――バカ犬っ!)
落ちてくるであろう身体を受け止めるべく、慌てて抱きかかえたのだが、耳元でゴツンという、イヤな音が聞こえてきた。
運悪く着ぐるみの頭の部分を外していたため、床に強打させてしまったらしい。
「くそっ! おい太郎、大丈夫か? しっかりしろ」
守ってやれなかったことに胸を痛めながら、外傷がないか手早くチェックしていく。
俺がクッションになったとはいえ、頭を強打したせいだろうか。グッタリしたまま意識がなかった。
「目立った外傷はないようだな。む、後頭部にコブが出来てる……」
頭をサワサワまさぐってみると血は出ていないが、大きなコブがひとつ。
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