120人が本棚に入れています
本棚に追加
***
きれーなおにーさんに付き添われ、救急車で大学病院まで連れて行かれた俺。
病院に着くと早速、頭の中の写真を何枚も撮られ疲れきったトコに、母親と妹が心配そうな顔して到着した。
病室に入ってきた親たちを見て、ベッドに横たわる俺の傍にいた、きれーなおにーさんが素早く立ち上がり、きっちりと頭を下げる。
「このたびは息子さんにケガをさせてしまい、大変申し訳ありませんでした」
「頭を上げて下さい、周防先生。息子がいつもお世話になっているというのに。逆に、お礼を言いたかったんですよ」
きれーなおにーさんは、すおー先生というのか。
頭を上げて切なげな瞳をした横顔を、じっと見てしまった。
(――未だに信じられねぇ、こんな人が俺の恋人なんて……)
「周防先生のところに通うようになってから、学校の呼び出しがなくなりましてね。成績のほうも以前に比べると、すごく良くなっているんですよ。きっと先生がうちの息子の面倒を見てくれているんですよね?」
「いえ……それはきっと彼が命に関わる病がきっかけになり、考えることがあったからだと思いますよ。私はただ、ちょっとだけ手を添えて、お手伝いをしているまでです。しかし今回、ケガをさせてしまったのはこちら側のミスですので」
あまりにも自分が悪いと連呼しミスを引っかぶる姿に、胸が痛くなってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!