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そう言うと、机の上の鞄を手に取り急ぎ足で廊下へと進むミケ
私も鞄を持って後を着いて行こうとすると、同じように帰る準備を始めたマドちゃんが椅子から立ち上がりながらミケに声をかけた
「なあ、モジャ」
マドちゃんの呼びかけに足を止め振り向いたミケは、キョトンとした顔をしている
なんの疑問も持たなかった私は、トコトコとミケの元に向かって歩いていて
あと少しで触れられるって距離まで来たところで、聞こえてきたマドちゃんの声に次の瞬間コケそうになった
「チュ-はした?」
!!!!?
「マドちゃん!」
勢いよく振り向いて、彼女を見た
まだそれ聞くの!?
驚き動揺しつつも、ミケに、答えなくていいからって意味で首を横に振ってみせる
だけど、何故かそんな私の動きをジッと見ていたミケは、視線をマドちゃんの方に向けると
少しだけ悪戯っ子のような表情を見せた
そして
「菫ちゃんの唇は、相変わらず柔らかいですよ」
自分の唇に人差し指を当てて、妖艶な笑みを浮かべながらそう答えたミケに
顔が一気に熱くなる
ミケ!
何でっ!!
あの口にガムテ-プ貼り付けてしまいたい!
「じゃあ、そろそろ…、あっ、円さんも一緒に…「そこは空気読んで断っておくわ」
一緒に帰りませんかと言おうとしたミケの言葉を遮って、断ったマドちゃんだけど
空気読めたんだって、感心した
だったら、さっきの質問もしないでほしかったよ…
まだ顔が熱いままの私の手を引いて、お口ポカンな小鉄君に挨拶をしたミケは教室を後にする
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