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無駄なものがない、シンプルな道路。 BGMは程よい音量で、時々口ずさみながら。 右に左に緩やかに、時にキツくカ-ブしながらの下り道を、ひたすら走れば見えてくるあの場所。 限りなく広がる空と海を隔たる水平線が見えてくれば、あの場所まであと少し。 自然とアクセルを踏み込む足に力が入る。 だけど、焦らない焦らない…。 『P』のかんばん標識が見えてきたら、左にウインカ-を出しながら徐々に本線から抜け出しスピ-ドを緩めていく…。 ********* 「カプチ-ノ、1つ」 車を駐車場に停め、パ-キング内にある小さなカフェで飲み物を注文し、きめ細かい泡がたっぷり乗ったカップを受け取ると、奥のカウンタ-席へ移動する。 このカフェがある小さなパ-キングは、高速道路のパ-キングでも規模が小さく 設備も最小限しかない。 トイレと自販機、売店も併設している小さなカフェ。 これだけ。 でも、ちょっと休憩するぐらいならこれぐらいで十分だったりするし、何より小さなカフェと言えども、淹れるコ-ヒ-の味はとても上質で、疲れた体を一気に ほぐしてくれる。 そして、ここの一番の自慢。 それは、このカウンタ-からの眺め! 大きな一枚ガラスの向こうに広がる、大きな大きな海!! 邪魔するものが何もないから、たまに本当に吸い込まれたように意識を失ってしまう。 それぐらい、凄い景色でお気に入りの場所。
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