1

3/19
前へ
/212ページ
次へ
ただ、今は11月。 残業をしてここに来るころには日もすっかり落ちてしまった後で 現在、目の前にあるのは、深い深い海の色。 この場所に来るようになったのは、今からちょうど3ヶ月前の金曜日の仕事帰り。 いつもなんとなく通り過ぎていたパ-キングだったけど、その日は夏休みの時期もあってかやけに車の量が多くて、疲れてしまった私は休憩がてら立ち寄ることにした。 車から降りて、腕を伸ばし「ん―っ」と声に出しながら固まった体をほぐして せっかくだからと売店でも覗いてみることに…。 自動ドアが開くと同時に、香ばしい香りが鼻先をかすめる。 コ-ヒ-? 不思議に思いながらも小さな売店内をウロウロとし、何か飲み物でも買おうとペットボトルのお茶を手にレジに向かう。 レジに、商品を差し出そうとした時、店員の女性のすぐ後ろに大きなエスプレッソマシンが置いてあるのが見えて咄嗟に聞いてみた。 「コ-ヒ-、淹れてもらえるんですか?」 「はい。こちらに…テイクアウトもできますよ」 私の質問に、頬にえくぼをつくりレジ横に置かれたメニュ-表を見せてくれた店員さん。 メニュ-表には、エスプレッソから一杯一杯ドリップで淹れてくれるブレンドコ-ヒ-、ココアや紅茶など様々な種類の飲み物が記載されていて、興味を持った私は、お茶をやめてカフェラテを注文することにした。 抽出するもの凄い音を聞きながら、待つこと1分弱。 カップにたっぷりと入ったカフェラテをレジで受け取ると、店員さんに奥のカウンタ-席を勧められた。 奥…?
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加