無口なチョコレート屋さん

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ぱちぱち、と音を立てる暖炉の薪の補充も終わって、お客様はいません。 「……白雪さん。暇ですね」  私がそう言うと、白雪さんはシガレットチョコレートの紙を全部剥いで、本当の煙草のように指に挟んで、うん、と頷きました。 シガレットチョコレートだけれどかっこよかったので、私も何となく頷いてしまいました。 「……白雪さん。前から聞きたかった事があるんですけれど、いいですか?」  また白雪さんは、うん、と頷きます。 「私、ここの制服嫌いじゃないですけれど、このヘッドドレス」  と、私は自分の頭を指差しました。 「どうして某宅急便の魔女子さん風のリボンなんですか?」  私の頭の上には大きな赤いリボンがあるのです。 すると白雪さんはシガレットチョコレートを口に咥えて、両手とも親指を立てました。
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