無口なチョコレート屋さん

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 説明を終えた私は、にっこり、とお客様に笑いかけました。 お客様はまだ戸惑っていらっしゃるようで、私達を交互に見ています。 すると白雪さんはさっきのシガレットチョコレートを食べ出しました。 ぽきぽきぽき、と音を楽しんでいるようです。 「ふふっ、噂通りの変わったお店ね。それじゃあお喋りしましょうか。何だか照れちゃいますけど」  お客様は、吸っても? とバッグから煙草を取り出しました。 白雪さんは、もぐもぐ、としながら赤い陶器の灰皿をお出しします。 「失礼しますね」  すうっ、としたメンソールの匂いがします。 「えっと……何から話そう、かな?」  困ってしまうのは当然です。 なのでいつも私が話し出します。 「お店の噂って、どんな噂ですか?」 「そうね、白くて黒いって聞いたわ。お店と貴方達、その通りね。それで……幸せのチョコレートがある、って……」
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