Left Side After

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それから2人の奇妙な交際は始まった。莉奈は大地をどうにかしてでも振り向かせようと努力し、大地はそんな莉奈の姿を呆れながらも見守った。 学校では相変わらずの仏頂面だが、二人きりになった途端、今まで溜め込んでいたものを吐き出すかのごとく笑顔に満ち溢れ、下校途中に寄り道をしたり、週末には遊びに出かけたり買い物に出かけたり。恋人らしく恋人らしい日々を送った。 そんな生活が3週間続いたある日、二人は放課後の誰もいなくなった教室にいた。というのも、大地が莉奈を呼び出したのだ。 「話って何よ。別れ話なら聞かないわよ。それとも何、人体改造ばかりしている変態大蛇の所に行こうと言うのなら手足を折って身動き取れないようにしてでも止めるわよ」 「なぜ急にNARUTOなんだ…そんなんじゃないよ。別れ話だなんて、とんでも無い…」 今にも消えてしまいそうな声で呟くように言う大地。そんな大地の声から状況を察したのか莉奈も真剣な表情になる。 「実はだな…俺の父親がまた転勤する事になった…まあ予想はできていたんだが、こんなに早くなるとは思っていなかった…だから、もう」 「言わないで!!!…」 大地の悲しそうな声を遮って莉奈は叫ぶ。思いの丈を。今までに出したこともないような大声で。 「何でそんなに悲しそうなの!!物理的な距離で私があなたを忘れるとでも思ったの!!??私はあなたの彼女なんだから!!忘れるわけない!!昔のことで不安になるのもわかるわ!でも、私は違う。毎日メールもするし毎晩電話の催促だってする。あなたの為なら何だってしてやるんだから。うざったいくらいあなたを求めてやる」 いつの間にか溢れ出た涙をぬぐいながら、徐々に熱く、苦しくなっていく胸を抑え、痛みに耐え、傷みに耐えた。 「なあ莉奈、俺はこういう時どうするべきなんだ…」 「黙って抱きしめなさいよ…」 涙でぐしゃぐしゃになった顔を隠しながら、俯く。涙が床に落ちていくのが見える。なぜこうなってしまったのか。自分でも理解ができない。 しばらくすると、大地は莉奈に近づき、優しく抱きしめた。優しく抱きしめ、耳元で囁く。
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