罰ゲームBOOK

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三人目、輪の中心人物の高松くんが頭突きで机を割る。 四人目、常に人を見下している香川さんが机の上で逆立ちをする。 五人目、いつもクラスでお菓子ばかり食べている綾川さんの味覚がなくなる。 六人目、取り巻き連中の一人である三木くんがやる事なす事全て失敗する。 七人目、常に大声で迷惑を考えない坂出さんの声が出なくなる。 クラスで主に迷惑な5人に罰ゲームを与えるだけで、もうクラスはめちゃくちゃになった。正直その日の授業は全く進まなかったが、僕の心はとても晴れ晴れしていた。今までの苦痛が今日の為にあったかのようだった。たった一日で全ページ使い切ってしまったけれど、そんな事はどうでも良い程に清々しかった。その日の帰り道、機嫌よく帰路に着いたところで中学のときにずっと好きだった琴平さんを見かけた。当時と変わらずとても綺麗だ… せっかくだから声をかけて昔話でもして帰ろうと思い、声をかけようとしたその時、僕は声を発することができなかった。一瞬何が起こったか解らなかった。人に声をかけれない程に僕は人見知りになってしまったのだろうかと思ったが、彼女の隣を歩く一人の男性に気がつき納得した。二人の仲を邪魔するほど僕は空気の読めない人間ではなかったらしい。 そんな二人を横目に信号を渡り何時ものように帰宅。何時ものようにコンビニで買った弁当をレンジで温め部屋着に着替える。チンという音とともにレンジから弁当を取り出すが、なぜかまだ冷たい…レンジが壊れたのかと思ったが、再度レンジに入れるとちゃんと温められていた。割り箸もうまく割れなかったが、しかし今日は気分が良いので気にはならなかった。 さて至福の瞬間、一日で一番楽しみな時間、夕食である。そんな幸せな時間の始まりを知らせる一口目、おかずの旨味と白米の甘みが… 感じられなかった。一切の味がしない、甘みも酸味も苦味もない。口の中には食べ物の食感があるだけで何の味もしない。こんな経験は初めてだ…この弁当の中の食べ物全てに味がない、これはおかしいと思い、冷蔵庫にあったお茶を、牛乳を、コーラを、ミネラルウォーターを、朝ごはん用の食パンやヨーグルトを全て口にしてみるも、どれも味気のない物になっていた…
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