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ここまで来てようやく気付いた、これは全て夢なんだと、夢だから僕の思い通りに人が動き、あり得ない光景を見ているんだ、そうに違いない。僕の思い通りになる夢ならばきっとここで永遠に逆立ちだって出来るはずだ。
なぜそう思ったのか。なぜ逆立ちをしようと思ったのかはわからないが、僕は部屋の真ん中にあったちゃぶ台の上に手をつき逆立ちをし始めた。僕はあまり運動神経が良い方では無いのだが不思議と永遠に逆立ちが出来る気がした…
しばらく逆立ちを続けた後、ふと腕の力が抜け、自然と腕が曲がる。僕はそのまま自然に身を任せ頭からちゃぶ台の上に落ち、背中から床に倒れる。痛い。頭と背中に鈍い痛みが走る。頭を打った衝撃で意識が朦朧とする。そのせいでちゃぶ台が割れていることにも気付かなかった…
どうしてこんな事をしているのだろうか、自分でもわけがわからなかった…そうだ、僕がらしくもなく何かを選択したからこうなっているんだ。全部あの本のせいだ…
あの本さえなければ…そう思い僕はカバンの中から罰ゲームBOOKを取り出した。よく見ると裏表紙に何か書いてある。
「これはあなたへの罰ゲーム」
どういう意味だ…罰ゲームを与えていたのは僕だ…僕が受ける意味がわからない。そうだ今までの記録がちゃんと記されているはずだ…そう思い裏表紙からページをめくる。そこには、僕が与えた罰ゲームが全て記されていた。執行される人の顔と名前が全て僕にすり替えられて…
そうか、そういう事か…やっとこの本のルールの最後の項目【みんな平等に遊びましょう】の意味がわかった…と言うことは僕はもう…絶望と恐怖の入り混じったぐちゃぐちゃな胸の中。どう表現すればいいのかわからないこの感情。後悔する暇もない。しかし少しの希望を持って僕は、服を脱ぎながら目次を開く。するとそこには新たな7番目の項目にこんな一文が追加されていた。
「人を呪わば穴二つ」
それはそうだ、僕は全てを納得した。何もせず、ただ流されるだけだった僕が悪いんだ。全て自分のせいなのに、都合が悪くなると全て周りに責任を押し付けて、楽ばかりしようとしていた。この本はそんな僕への最終勧告だったのかも…しれない……
そうして彼は死んだ。始めに殺した殺人犯と同じ死に方で、四肢と首をちぎられ無残な死体となって発見されたのは翌日の昼過ぎ。発見された時の彼の顔は安らかな笑みを浮かべていたと言う。
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