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最初は嬉しかった。
私はもっともっと強くなれる。憧れていたお父様のように、美しく力強い存在になれる。と思っていた。
焦り始めたのは、それから一年後。
『重力』が、実践だと使えない状況がずっと続いた。
絶望した。
泣きたくなった。
私だけの魔法が、使えない。
私だけの力が、使えない。
私だけの存在が、使えない。
使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。使えない。
そんなジレンマを持ちつつも、それでも諦めなかった。
まずは、私のもう一つの武器である魔法をもっともっともっと頑張った。
成長した。
片手間になってしまっているが、それでも私としては必死に『重力』を練習した。
扱えなかった。
『三星』の一員となるまで成長し、魔法も更に自信を持てるほどになっていった。
もっともっと成長した。
それでも、これは、これだけは、と。必死に『重力』を練習した。
扱えなかった。
努力が評価されていくことに喜びを感じる反面、段々と肩書きだけとなっていく『重力』に焦りを感じていく。
これだけが、私だけの"力"なのに。
これ扱えるようになれば、お父様でも及べなかった所まで至る可能性があるのに。
これさえ。これさえ。
泣きそうになる。
涙が目に溜まる。
自然と顔が下を向く。
これさえ。これさえ扱えれば━━!!
「おーう。精進してるねー」
"ソイツ"が現れたのは、そんな時だった。
今はまだ尊敬してなく、いや、むしろ心の中では下にすら見ていて。
冴えない容姿で魅力も無く。力も無く。知恵もなく。
それでいて、尊敬しているスズ隊長を倒した、とてつもなく強い男。
ソウ・アリセル
今現在の私の"上司"だ。
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