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「……すげーな、女子高生」
「え……」
「何か、パワフルな感じする」
それって、褒めてはいないよね?多分。
「あの、私、夏目純っていいます」
「そうなんだ。ごちそうさま」
彼は私の自己紹介を見事にスルーして、そばを乗せているトレーを持って立ち上がった。
「な、名前、覚えてくださいね!私の!」
「覚えてどうするんだよ。どうせもう会うことないだろ」
「……また、会えるもん」
絶対。
彼がまた次もこの病院に来ることがあるなら、という条件が付いてしまうけど。
「……わかった。一応覚えておくよ。じゃあな、夏目」
「またね、楓くん」
欲を言えば、純って呼んでほしかったけど、そんな高望みしたらいけない。
……これ以上なんて、望んじゃいけない。
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