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「そっちは?お前、運動神経良さそうだよな」
「うん、テニスやってる。中学の頃からずっと」
「へぇ。凄いじゃん」
二人でベンチに座りながら、他愛もない話をする。
楓くんは片手に缶コーヒーを持っていて。
私の話を聞きながらコーヒーを飲む仕草さえ、カッコよく見えてしまう。
ていうか、楓くんなら多分何をしてもカッコよく見えちゃうんだ。
「……ねぇそれより、楓くん、一つ聞きたいことがあるんだけど」
「さっきから何でも聞いてくるじゃん」
「……何でこの病院に来てるの?」
その私の言葉を聞いて、コーヒーを飲もうとした楓くんの動きが一瞬止まった。
「……楓くん、病気なの?」
ずっと、ずっと気になっていた。
二週に一回。
大体、水曜日の午後、彼はこの病院に来ている。
その理由が、ずっと聞きたくて仕方なかった。
「もし何か辛いことがあったら、私で良ければ……」
「別に話すような事じゃないから」
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