好きな人の、好きな人

6/11
6527人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
「そっちは?お前、運動神経良さそうだよな」 「うん、テニスやってる。中学の頃からずっと」 「へぇ。凄いじゃん」 二人でベンチに座りながら、他愛もない話をする。 楓くんは片手に缶コーヒーを持っていて。 私の話を聞きながらコーヒーを飲む仕草さえ、カッコよく見えてしまう。 ていうか、楓くんなら多分何をしてもカッコよく見えちゃうんだ。 「……ねぇそれより、楓くん、一つ聞きたいことがあるんだけど」 「さっきから何でも聞いてくるじゃん」 「……何でこの病院に来てるの?」 その私の言葉を聞いて、コーヒーを飲もうとした楓くんの動きが一瞬止まった。 「……楓くん、病気なの?」 ずっと、ずっと気になっていた。 二週に一回。 大体、水曜日の午後、彼はこの病院に来ている。 その理由が、ずっと聞きたくて仕方なかった。 「もし何か辛いことがあったら、私で良ければ……」 「別に話すような事じゃないから」
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!