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オフホワイトのシャツに、パステルカラーのフレアスカート。
長くて綺麗なブラウンの髪を、毛先だけ巻いていた。
目が大きくて、笑った顔が可愛いかった。
誰が見ても、綺麗だと認めざるを得ない女性だった。
彼女が楓くんの腕に、自然に触れた。
二人は手を繋いで病院を後にした。
その幸せそうな姿を、遠くから見ている自分。
悔しいけど。
本当に悔しいけど。
凄く、お似合いだった。
彼の視線の先にいる彼女の事が、心底羨ましくて仕方なかった。
メールがきただけでも、こんなに嬉しそうな顔しちゃうんだ。
もう、ここにいても虚しくなるだけだ。
バイト行こう。
楓くんが彼女にメールの返信を打っている間に、中庭を出ようとした瞬間。
「夏目!」
突然楓くんに名前を呼ばれた私は、飼い主に忠実な犬のように勢いよく振り向いてしまった。
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