好きな人の、好きな人

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「うわ、あんた重すぎ。もらった飴をポーチに閉まうとか変態でしょ」 昨日の出来事を千尋に話していたら、思いきり引いた顔で変態扱いされてしまった。 「……変態でいいもん」 「まぁ、仕方ないか。奥手な純の、初恋だもんね」 「……うん」 周りの友達は、中学生の頃から彼氏がいるのが当たり前で。 小学生のときからの友達がそうやって彼氏が出来ていく事に、私一人だけ戸惑いを隠せなかった。 千尋にも、当然のように彼氏がいる。 いつまでも成長しないのは、私だけ。 でも、好きだと思える人がいなかったんだから仕方なかった。 別に無理に好きでもない人と付き合いたくはなかったし。 だから、楓くんを初めて見たとき。 一目惚れしてしまった事に、私は誰よりも驚いたんだ。 今まで誰も好きにならなかった私が、あんな簡単に恋に落ちるなんて。
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