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十月。
楓くんに初めて会った日から、三ヶ月が過ぎようとしていた。
あの頃は、どこにいても暑かった。
でも今は、少し肌寒い。
季節が変わっても、水曜日。
私は学校が終わったらダッシュでバスに乗り込んで、彼がいる病院のあの中庭へと急ぐ。
「純。今日も行くの?」
バス停まで走っていた私を呼び止めたのは、双子の弟の蓮。
蓮は同じ高校に通っているけど、クラスは違うから学校ではほとんど顔を見ることはない。
朝、学校へ行くときは一緒に家を出てるけど帰りはいつも別々。
蓮は口数が少ない方だから、一緒にいてもそんなに会話はない。
私が一方的に話を続けて、蓮は私の話を黙って聞いてくれる。
そんな感じの私達だけど、仲は良かった。
「うん。だって今日、水曜日だもん。楓くんに久し振りに会えるかもしれないし」
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