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「あ、噂をすれば……来たよ、彼」
「え!」
みっちゃんに言われて食堂の入口に視線を向けると、食券の券売機に小銭を入れている彼がいた。
あの日から、彼を見る事が出来たのは今日で四回目。
だけど、どれも遠くから見るだけで。
それでも私は満足していた。
「純ちゃん、話しかけてみたら?」
「え……無理!絶対無理!」
「でも今大チャンスよ。他に客いないんだし」
「でも話しかけたって……」
彼と仲良くなりたい、だなんて。
そんな事願ったって、意味ないのに。
「じゃあいいの?このチャンス逃しても。せっかく初めて好きになった人なのに」
「……」
みっちゃんに言われても、話しかける決心がつかない私。
すると、突然真横から声が聞こえてきた。
「海老天そば。ネギ多めで」
……見ると、超至近距離に彼がいた。
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