第1章 7月1日

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「つらいみたいだね。少し休もう」  私の様子を静かに見守ってくれていた孝宏君が静かに声をかけてくれた。  やっぱり、優しくて思いやりのある人なんだなぁ……。  私たちはゆっくりと、橋のそばの草地に腰を下ろした。 「あまり無理しないでね。焦る必要はないよ。何か些細なきっかけで、記憶が自然と戻ることもあるかもしれないからね」  私を落ち着かせるように言ってくれる孝宏君の声は、低くて穏やかだった。 「ありがとう」 「ううん、僕は何もできていないよ。でも、少しでも力になれたらいいな」  見ず知らずの私に対して、ここまで気遣ってくれるなんて、本当に優しい人だと思う。  私は思わず、不安に感じたことを孝宏君に全て打ち明けた。 「七夕の日付だね。今日が七月一日だから六日後かぁ……。どうして、佐那ちゃんはその日付を書いたんだろうね……」  孝宏君は真剣な表情で、考えてくれているようだ。  そんな表情もすごくかっこよくて、絵になる感じだった。    それにしても……本当にいったい、何の日付なんだろう。  そして、七月七日の日付を見るたびに襲い来る、この嫌な胸騒ぎは何なのだろうか……。
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