第1章 新たな任務

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「別にいいのよ。気にしないで」 「俺の功績を横取りか?」 「別にいいじゃないですか。ところで、何であなたはこの男に?」 ミナは悪びれもせずに言い捨てると、少女の前へしゃがむと事情を聞き始めた。 まあ大した事をしたわけでも無いため、俺は黙って状況を見つめる。 「母の薬を買いに行く途中で、その人とぶつかってしまって…」 「そう。どこか怪我は無い?」 「うん!大丈夫」 「よかった。これからは気を付けてね」 ミナはゆっくり立ち上がると、少女の頭を優しく撫でる。 「ありがとう!お姉ちゃん」 満面の笑みを浮かべる少女を見ていて、俺はピンと閃いた。 「あ!なあ、お嬢ちゃん。この辺に制服がある服屋とか知らないか?」 「制服?よくわかんないけど服屋さんならこの道を真っ直ぐ行った先にあるよ!」 「本当か!?ありがとう、助かったよ」 少女が脇の道を指差すと、俺も少女の頭を撫でながら笑顔を見せる。 少女が駆けていく後ろ姿を見届けると、俺達は教えてもらった道を進んでいった。 「怪我の功名ですね」 「その使い方は合っているのか?」 程無くして、目の前には少女の言っていた服屋と思われる店が見えてきた。 店の中に入ると、様々な服がキレイに並べられているのだが、客も店員もいない様子。 「…あれ?すいませーん!」 ミナが声をかけると、奥から中年の女性が慌てて出てきた。 「はいはい、ごめんなさいね。いらっしゃい」 「ここにアカデミーの制服はありますか?」 「もちろんあるわよ。じゃあまずこの水晶に魔力を込めてね」 女性はそう言うと、俺達へ1つずつ水晶を渡す。 「魔力を?」 「知らないのかい?あなたたちの魔力でクラスが決まるのよ?」 「そうなんですか。じゃあ早速…」 そう言うと、ミナが先に水晶へ魔力を注いでいく。 ……パリン! ミナの魔力が許容量を越えたのか、甲高い音をたてて水晶は砕け散った。 「えっ!?」 訳が分からないといった表情で、ミナが俺を見つめる。 続いて俺も水晶に魔力を込めると、今度は音も無く一瞬で粉々に砕け散ってしまう。
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