第1章 新たな任務

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「随分と早いな。…手抜きか?」 「馬鹿にすんな」 俺の冗談が薄いリアクションでかわされると、ミナが覗き込むようにしてアクセサリーを眺めていた。 「あ、これ可愛い!」 そう言ってミナが手に取ったのは、ピンク色をした指輪。 よく見ると細かな細工がされており、ゴルドの技術の高さが伺える。 「早速付けてみるといい」 「はい!」 ミナが指輪をはめると、封魔石から光が放たれ、指輪は白く輝いた。 「これでどのくらい魔力が落ちたんですか?」 「そうだな…お嬢さんならBランクくらいだろ」 「Bかー。落ち過ぎじゃないですか?」 ミナが不満げに頬を膨らますが、ゴルドは気にしていない様子で俺に手を差し出す。 「次はお前だ。早く付けろ」 急かすように前後に揺らす手には、赤い十字架のネックレスと黒い腕輪が光る。 「なっ!?俺は2つかよ?」 「お前の魔力はハッキリ言って底無しだ。だから魔力と無の力をこれで別々に抑える」 無の力とは俺の属性…というか俺には属性というものが無い。 本来人間は、それぞれ潜在的な属性を持っている。 火の属性持ちは、火を扱う魔法の威力が高くなるが、自分の所持属性とは相反する属性、つまり水の魔法が使えない。 だが、ごく稀に属性を2つ持っていたり、俺のように属性を持たない人間もいたりする。 ちなみにミナは前者、光と闇の対極属性持ちだ。 俺の無属性は極めて珍しいんだが、ミナの対極属性もかなり珍しい部類に入る。 俺の場合、扱えない魔法は無いんだが、突出した属性魔法が無い為、ミナに光と闇の魔法では劣る。 …まあこの話はそのうち詳しく話す事にしよう。 「仕方ないか。じゃあ早速…」 そう言って俺はアクセサリーを手に取ると、首と腕に付けた。 ミナの時と同じように宝石が光り、白い輝きを放つ。 力が抜けるような、心地悪い脱力感が全身を巡り、それが収まると宝石の輝きも消えていた。 「これでどれくらい落ちたんだ?」 「Aランク…ってところだろ」 「上等だ。ありがとな、また来るわ」 「ありがとうございました。ゴルドさん」 俺が店を出ようとすると、ミナはゴルドに一礼して後に続く。 「また来いよ」 「ああ、またな」
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