2人が本棚に入れています
本棚に追加
厳つい顔には似合わない笑顔を浮かべて、手を振るゴルドの店を出た俺達。
「さて、次は…」
「制服…ですよね?」
「そうだな。さっさと済ませるぞ」
「はい!」
アカデミーの生徒が着用する制服なら、服屋にでも行けば置いてあるだろうと思った俺は、服屋を探して再び歩き出した。
歩くこと数十分…。
「なあ、ミナ」
「なんですか?」
歩きながら不意に声をかけたが、すぐにミナの返事が返ってくる。
「服屋って…どこにあるんだ?」
「えぇ!?わからずに歩いてたんですか?」
「ゴルドの店以外はほとんど入った事が無い」
「てっきり隊長が知っているものだと…。私もわかりません」
ミナも分からないか…。
まあ知っていたら、通ってきた店の前で呼び止めるだろうからな。
「困ったな。さて、どうす…」
「きゃあ!誰か!!」
立ち止まり悩んでいると、急に叫び声が聞こえてきた。
「ん?」
「隊長!向こうの方角です!」
ミナが指を差しながら声をあげる。
「うーん。見て見ぬフリするのもなんだな…行くか」
「了解!」
声が聞こえた方角へ向かうと、少女が頭の悪そうな男に絡まれている。
「おらっ!さっさと金出さねぇと痛い目みるぞ!」
「お、お金なんて無いです!」
「おー、やってるやってる」
「隊長!見物に来たんじゃないんですよ」
俺が悠長に眺めていると、肘で脇を小突かれた。
「へいへい…」
「誰か!助けて下さい!」
「大丈夫ですよ」
ミナが落ち着いた口調で少女に近づくと、俺は静かに床を蹴って男の背後へと移動する。
「うがっ!!」
移動と同時に男の首筋に手刀を当てると、情けない台詞を吐きながら倒れていった。
「はい、終わり」
「えっ?…あ、ありがとうございます!」
一瞬の出来事に、少女はポカンとした表情を見せていたが、やがて状況を多少なりとも把握出来たのか深々と頭を下げた。
最初のコメントを投稿しよう!