独身の期間

15/17
2146人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
明日提出する 住民票の 『木山貴文』 氏名を 指でなぞっていく ・・・・・・幸せ・・・ 「瞭。いつまで眺めるつもりだ?」 スルリと シャワーを浴びて 温まった 腕が 後ろから 前へ伸びてきた 「ずっと・・・・・・、ぁん・・・・・・あ」 「それは困る」 どうしてもと 乞われ 身に纏った 薄い黄色地に咲いた 白く気高い百合が 捩れていくのを ドキドキしながら 見守ってしまう ひんやりした空気と 温かい熱に 体の中で 焔がポッと灯って ギュッと いたずらな腕に しがみついた 「自分の名に嫉妬する日が来るとは、過去の俺に言っても信じねえだろうな」 住民票を 忌々しそうに眺めて ポイと 放り投げてしまった 「ダメ・・・・・・ッ」 貴文さんが 床に落ちてしまう 「駄目じゃない。あんな紙切れより、俺を意識しろ」 ソファーから ベッドへと 移動して そっと降ろされた 「あ・・・・・・、ゃ」 ふわっと冷たい風が 入ってくる 「甘そうに熟してる」 「んふ・・・・・・ぁ、あ」 駄目・・・・・・ッ 『ピチャ、ジュッ』 綺麗な浴衣に シミが ついてしまう 「はぁ・・・・・・ん、ダメ、ね、待って」 ゆったりと 体を起こしていく 貴文さんが 俺を見て 色っぽく微笑した 「俺の水を百合にくれてやるのは、勿体ない。俺だけを潤してくれ」 恥ずかしさに 整えた 薄い黄色地を 下から交互に折り畳み 百合の花を隠していく ・・・・・・恥ずかしい 赤く染まる頬を 両手で隠す 「良かった。間に合って」 嬉しそうに笑った 無理・・・・・・ッ 全然、間に合ってない
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!