第1章

2/17
2146人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
休憩時間に窓からぼーっと外を眺める カップルだろうか 仲良く腕を組んで歩く姿が羨ましい 長く揺れる髪が、昨日別れた彼女を思い出させる 『ねえ、後1分で明日よ。今日私の誕生日だって、知ってたでしょ?』 早く帰れる筈だったんだ 教育係を任されていた後輩の彼女が、昨日までに、得意先に送付している筈の文書を作りもせず、放置していたと知るまでは 部長に彼女と一緒に怒鳴られ 彼女と一緒に残業するつもりが 『子どもが熱出しているので、残業出来ません』 言われた時に、帰宅を認めてしまった 俺、父子家庭だったんだ 母親の居ない子どもの気持ちが、痛い程分かるから 帰して、一人で残業して 走って帰宅する途中で 男と腕を組んで、ホテルから出て来る後輩を見た時のショックは 言葉では表せない 用意していたプレゼントを持って 彼女のマンションへ走って行き 『あなた、仕事と結婚すれば?私たち、別れましょう』 告げられた時 残業して走って来た体の疲労が ずっしり襲い掛かってきた 「やってらんねえ」
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!