第3章

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「美味しいです。甘さと苦みが絡み合って、とても上品な味になっていると思います」 一口食べて ダンディーさんに 感想を伝えた 彼が立ち去って 近付いてくる 中山さんが見えた 「隣失礼して宜しいですか?」 「中山さん勿論です。どうぞお掛け下さい」 「この企画提案拝見しました。此方の要望を的確に分析して下さってますね。春には実施したいと思っているのですが、間に合いますか」 良かった 貴文さんの 許可が出たから 大丈夫とは 思ってたけど 喜んで貰えると ホッとする 「お役に立てて光栄です。今月中に企画書を作成させて頂きます」 「良かった。前の担当の方から返事が来なかったので、無理なのかと心配してたんです」 うわー 本当に申し訳ない 「ところで」 え? 近いです 中山さん寄って 来ないで下さい 「ずっと私に視線をくれてましたよね?」 太ももに 手を置かれて 泣き出したくなる 「違っ、違うんです」 睨んでたんです でも 睨んでたなんて 言えない 「震えてるんですか?本当に可愛いらしい」 「中山さんお願いです。手を、手を退けて下さい」 同じレストランバーに 居るのに 貴文さんとの距離が 遠くて 救いを求める 俺の視線に 気付かないまま M社の人たちと 仕事をしてる 「視線で誘って下さったでしょう?ほら動かない。他のお客様に変に思われてしまいます」 振り払いたい でも、会社に 貴文さんに 迷惑が掛かる そう思うと 振り払えない
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