第3章

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こんな触られ方は されたくない 優しい唇で 優しい手で 触られたい 「いや・・・・・・い、や」 体の中に 指が潜ってくる 「嫌なら殴ってでも逃げろ」 そんなの出来ない 好きな人を 貴文さんを 殴るなんて 出来ない 「どうした。嫌なんだろ?抵抗しろよ」 「出来な、い。だって、好きだから。貴文さんが好きだから、いつもの貴文さんが良い。お願いだから」 お願いだから こんな抱き方 しないで 「好き。貴文さんが好き」 もう 同じ言葉しか 出て来ない 貴文さんだけ 貴文さんだけが 好きだから 「瞭」 貴文さんの指が 出て行って 優しい腕に 抱き締められた 「んあっ・・・・・・あ、ぁ」 いつもの 優しい口付けに 優しい手に 安心して 涙が止まらない 「瞭。お前は俺のものだろう?頼むから、俺は瞭を他の男に触らせたくねえ。触らせないでくれ」 貴文さんの 懇願するような 切ない声が 胸に痛い 「ごめんなさい。貴文さんごめんなさい」 忠告してくれたのに 中山さんが 俺を好きだって 教えてくれたのに 勝手に妬いて ごめんなさい 振り払わなくて ごめんなさい 「乱暴して悪かった。もう泣くな」 そんな困った顔 しないで下さい 愛してるって 甘い声で 囁いて欲しくて 「貴文さん。大好き」 初めて自分から 貴文さんに 口付けた
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