第4章

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「お帰りなさい。父さん」 「おう、ただいま。瞭も大変だったな、お世話になった上司の方にお礼しないとなあ」 「うん。本当に素敵な人で、凄く親身になって助けて貰ったんだ」 貴文さんの 声が聞きたい 心配して くれてたから 父さんが帰って来たって 連絡しても 良いかな? でも 休日返上で仕事してたし どうしよう? 『はい』 「あの、忙しいのにすみません。今、大丈夫ですか?」 結局 電話してしまった きっと仕事してる 大丈夫じゃないのは 分かってるのに 声が聞きたくて 『そうか、良かったな。親父さん無事に帰って来られて』 柔らかく 微笑んでくれてる 表情を見なくても 分かるくらい 優しい声が 聞こえてくる 「それだけなんです。すみません、遅い時間に」 『いや、お前の声が聞けて嬉しい。もう少し聞かせてくれるか?』 どうしよう 涙腺が緩んで 涙が零れてくる 何か 話さないと 『どうした。泣いてるのか?傍に居ねえってのは駄目だな。涙も拭ってやれねえ』 もう こういう台詞こそ サラッと 言ってくれれば 良いのに 悔しそうに 言うなんて 「俺も・・・・・・俺も貴文さんの声が、聞きたくて」 『・・・・・・あー、今すぐ抱きてえ』 はあ!? な、何言って 『可愛いんだよ、可愛い過ぎる。堪んねえ』 恥ずかしい 思わず 赤くなった顔に 手をやって 顔を隠す 「また、電話して良いですか?」 『ああ、いつでも掛けてこい』 良かった 嬉しくて 幸せで 携帯電話を 抱き締めたまま ベッドへ潜った 早く 明日に なって欲しい
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