第4章

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「今月から共同プロジェクトで、忙しくなってるのは知ってるね。企画課の手伝いに来てくれることになった斉藤さんだ」 主任に紹介されて キチッとスーツを 着込んだ 魅惑的でセクシーな 美女が綺麗に 微笑んで 「宜しくお願いします。お役に立てるよう頑張らせて頂きます」 会釈する姿も 色っぽい 同じフロアで 働いている男性社員の 鼻の下が伸びて だらしない顔に なっている 「元々は企画課出身で、現在は社長秘書をしてらっしゃる才女だ」 凄い 企画課から 大抜擢されたんだ でも よく社長秘書が 古巣の企画課に 来れたな 「社長秘書?よく社長がこんな美女を企画課に寄越してくれましたね」 「まあ、こんなおばさんに美女だなんて、貴文さんも若い子を見習ってお世辞くらい、言って欲しいわ」 色気のある仕草で 貴文さんの肩に 手を置いて 斉藤さんが 語りかけても 貴文さんは目線を 彼女に向けただけで 振り払わない 「はいはい、紹介はここまでだよ。斉藤さんは共同プロジェクトで、成田君と組んで仕事をする忙しい身だからね」 周囲から 残念そうな ため息が聞こえてきた 「成田部長代理ばっかり美女に慕われて、羨ましいよな」 「本命が総務の横川さんで、斉藤さんは愛人だって噂が昔からあるんだよ。成田部長代理じゃなきゃ、あの美女の相手は出来ないっての」 いつもなら フロアがおなじでも 聞こえないのに 何で今 聞こえてくるんだろう 脳裏に 斉藤さんの手を 振り払わなかった 貴文さんの姿が 浮かんで 胃がキリッと 痛んだ
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