第4章

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「抵抗出来ない自分を何度も責めたわ。何で付いて行ったんだろう、何で信じたんだろうって」 相談したい その言葉を信じて 食事の注文も 任せてしまった ビールだと 疑わずに 強いアルコールを 飲んだんだ 「付いて行ったんだ。俺が、俺が悪い。あの男に付いて行った俺が」 「違うの。瞭君、違うのよ!騙されたの。瞭君は悪くないの。分かる?瞭君は全然悪くないわ」 でも・・・・・・俺が 「言われてたんだ。注意しろって、なのに俺」 言われた 誰かが、心配して 言ってくれてたのに 「分かってなかった。視線に気付いてなかった!苦し、苦しいよ」 飲みに行くって 言ったら 『分かってなさすぎ』 怒ったような 声が 何度も聞こえて 胸が、苦しい 「瞭君は、性欲を満たす道具にされた被害者なの。好きでもない人に、無理矢理抱かれた被害者なの。全然悪くないのよ」 好きでもない人に 無理矢理 「ねえ、瞭君聞いて?」 俺の手を 強く握り締めて 真摯な目で 見詰めてくる とても綺麗な 強い目だ 「こんな汚い身体、誰も許してくれない。家族も、恋人だった人も腫れ物を扱うように、遠巻きに私を見てる。そう思ってたの」 俺も、汚い だって 俺があの男に 付いて行ったんだ 俺が・・・・・・悪い 「大事な人たちを私が拒絶してることに、気付かなかった。気付かないまま何年も苦しめてしまったのよ」 大事な人たちを 何年も 苦しめる?
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