second X'mas

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「良かった起きた。帰るよ店長、もう終電だって」 寝惚けてるのか酔っぱらってるからか、まだ思考がクリアではなさそうな男に見せつけるように腕時計を指す。 彼は不快そうに顔をしかめた。 「ふざけんなよ」 「……は? 何いきなりキレてんの。寝起き悪いヒト?」 「朝まで付き合えと言っただろう」 ――呆れた。 朝を待たずに寝ていたのはどこの誰だ。 酔っ払いの戯言に付き合っていたら、終電逃しちゃう! 「こっち、明日も仕事なんですけど」 「だからなんだ、俺だって仕事だ」 「うわ、酒臭い店長とか最悪ー。お客も店員も可哀相ー」 『店員も』……言ってから、気付く。 明日になったら彼は、職場で彼女と顔を合わせるんだ。 同情、しなくもないけど。 「店長って呼ぶな」 「えーだって。店長さんは店長さんで……」 「あいつと同じ呼び方をするな」 ――一瞬で、冷えた空気が。 彼が本気で不快に思っていることを伝えた。
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