second X'mas

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相手は失恋したての可哀相な酔っ払い。 淋しい独り身のオッサン。 あと数分後にはバイバイして、寝て起きたらきっとお互い今日話したことなんて忘れてる。 そう言い聞かせて、もうしばしの我慢だと。 のんびりと会計が済むのを待ってから、わざとゆっくりと立ち上がる。 移動時間を考えたら、もう終電ギリギリだ。 その方が、無駄な立ち話に付き合う必要もなくさらっと切り上げるのに都合が良い。 そう思って――。 「おい、大丈夫か」 「……足に、来たか」 飲み過ぎは認める、ちょっとうつらうつらもしたし。 けど頭はそこそこクリアだった。 むしろ少し寝たおかげですっきりした、つもりだった。 だから、そんなに酔いが回っているとは思っていなかった。 フラついたところを支えてくれたのがつい今の今まで『酔っ払い』と心中で罵倒していた相手なのが気まずくて、掴まれた腕を振り払った。 立ち上がった途端に酔いを自覚した私とは逆に、この男は立ち上がった途端に正気に戻ったような様子なのもいちいち気に障る。 「終電なのよ、オッサン」 呼ぶなと言われた呼称を避けたら、それ以外に思い浮かばなくて。 最後に、男の引きつった笑いを見た気がした。
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